映画「カケラ」

安藤モモ子監督の「カケラ」をDVDで鑑賞。満島ひかりが相変わらずすてきな演技をしていた。この人は捨て鉢な女を演じさせたら最高である。

大学生のハルは男に浮気をされても別れられず、だらしなく付き合っており、満たされぬ思いを抱えながら生活を送っていた。そんな彼女を愛で満たしてくれたのがリコであった。レズのリコは「男とか女とか関係なく、自分にとって気持ちいい人と付き合いたい」とハルに告白し、深い愛情を伝えてくれる。ハルは女性に愛されることに不安を感じながらも、男の横暴な振る舞いと、それとは対照的なリコの真摯な思いによって心を許すようになる。このようにして、二人は付き合うようになり、幸福なひとときを過ごす。
だが、恋の絶頂期は長くは続かない。二人の思いのすれ違いが深まっていく。皮肉なことではあるが、恋愛に性別が関係なかったように、恋愛の終わりも男女に関係なく訪れたのである。ハルもリコも欠落感に苦しみながら、これからも生きていくのだろう。

「お月さまってまん丸になるけど一日だけだよ。あとはずっと欠けてる。欠けてる月もきれいだよ。」そうリコは語った。欠けているのは、女性しか愛せないリコであり、愛情を欲しているハルでもある。人はみなどこかが欠けている。みんな、カケラなのである。そして、カケラでもいいじゃないとリコの言葉は僕に響いた。
この物語はひとの欠けたところを許し、愛することを教えてくれる。最近、つとに自分の欠点ばかり目に付く僕を、少しだけ楽にしてくれた。ありがたし。